■トーク ロシアの旅あれこれ
2012年にコンサートで訪れたロシアについて、同行したギターの新美さんとあれこれと語りました。
モスクワや、ウラル地方の都市エカテリンブルグへの旅で感じたこと、人との出会い、コンサートのことなど、私たちの体験から、思いもよらなかったロシアの今が垣間見えて来ると思います。
(聞き手:永尾ともあき)
- 第1回 モスクワからエカテリンブルグへ
- 第2回 狩猟採集民?
- 第3回 良いエネルギーで満ちあふれて
- 第4回 「明日は絶対に成功させたい」
- 第5回 人間力のウネリ
第1回 モスクワからエカテリンブルグへ
新美:今回の旅は、モスクワでのレクチャー、モスクワでライブ、その次がエカテリンブルグっていう3本立てだったの。
・・・ レクチャーってのは?
ときわ:日本文化を好きだっていう人がロシアに結構いるっていう話で、日本語も勉強してる人達がたくさんいるから、そういう人達の前で日本語の歌を解説しながら歌って。みんなで歌ったりとか。
新美:子供もいたね。会場の別フロアには、日本語の本しか置いてない図書館があって。そこでロシアの若い人が、一生懸命に本を読んだりしてたの。
ときわ:してたね~。レクチャーでは通訳の女の子がいて、その通訳の子にも助けられたりしつつ。なんとかやったよね。
新美:やったね。お客さんで、ロンゲの不思議なおじさんがいたね。
ときわ:その不思議なおじさんが帰り際に「すごく良かった」って言ってくれたりして。
新美:新聞とかラジオの取材で来てる人もいて、曲が面白かったみたいでレクチャーのあとインタビューで鋭い質問をされたりして。「これは日本のどういう音楽なんだ?」と聞かれて。その日の一曲目が矢野顕子さんの「ふなまち唄」だったんだけど、あれって「ねぶた祭り」のお囃子を基調にしたものなんだよ。
で、それは「日本のフォークロアだよ」って話したの。「フォークって言ってもボブディランとか、そういう音楽じゃなくて・・・」「そう、そっちじゃなくて、土着的な民族音楽って意味でのフォークロアだね」って話したの。そしたらすごい納得してくれたの。で、それをモダンにした音楽だ、という風にとらえてくれたの。
ときわ:その人がすぐ翌日の記事に書いてくれて、「J-FOLK」という言い方をしていたの。それを見て、そうかJ-FOLKか、って、はっとさせられたの。
新美:日本ではそういう風には書かれないから。その分け方は結構いいなと思ったんだよね。
・・・ 太鼓の集団とか、逆にそういう「This is Japan」みたいなものは、彼らは見慣れてるよね。
新美:むしろそうなんだよね。
・・・ で、二日目は?
ときわ:レストランなんだけど、ちょっと舞台があるみたいなところでのライブ。すごい雰囲気のあるいいお店だった。
・・・ その後、エカテリンブルグへ。
ときわ:エカテリンブルグに行ったら、空港に仕切りのマリーナさんという女性とスタッフの子たちが迎えに来てくれてて、「取りあえずホテルに行って荷物下ろしてきてください」って言われて。で、次につれていかれたのがテレビ局だったの。
・・・ ふ~ん。
ときわ:「地元のテレビに出てください」っていきなりなったの。
新美:俺達はそこで何をするのかも知らなかったんだよ。昔、目隠しして海外につれて行かれる番組あったよね?
・・・ はいはい(笑)。
ときわ:(笑)向こうでやってる朝の情報番組に出てくださいってなったの。次の日がコンサートだったんだけど、そのコンサートの日に放映する朝番組に出てくださいという感じで。司会の方がいて、その方からいろいろ質問を受けて、その後2曲演奏して。
・・・ へ~、じゃあ、テレビ局についてぱぱっと打合せして「2曲やるみたいだぞ」ってなってその場で選曲してという感じ?
ときわ:そうなの。
新美:そうそう。別に日本人が横にきて説明してくれる訳でもなく。
・・・ ロシア語が飛び交ってる中で「お?もうやるのか?」みたいな感じ?
ときわ:そうそう。
新美:でも意外とその方が緊張しないでできちゃうんだよね(笑)。
ときわ:そう(笑)。「あれがこうでこうで・・・」ってされるよりも、いきなりぽ~んって「本番行きます!」ってされちゃう方が、いけちゃうもんなんだな~ってその時思った。
で、次にエカテリンブルグの大学の日本語学科の学生を集めたから、そこでお話と歌をお願いしますって言われて。
新美:それがエカテリンブルグでのレクチャーだね。
ときわ:行ったら今度は学生さん達がびっしり教室に集まってて。
新美:そうそう。
ときわ:みんなが期待の目で見てくれているのがすごい分かるの。一緒に行ったマリーナさんも通訳とお話をちゃんとしてくれるし。私の言った一言に対して、すごく膨らませてみんなに説明してくれてたと思うんだけどね。そんな感じで和気あいあいと。
新美:ようこそって感じだったの。
ときわ:そうそう、で、その学生さん達もレクチャーが終わった後に何が始まるのかと思ったら、みんなからサイン攻めにあって・・・ね。こんなに喜んでもらっちゃって良いのかっていうぐらい喜んでくれて。
で、花を持って来てくれてる子もたくさんいて。なんでもロシアの人は、その場でありがとうとか感謝の気持ちを伝えようという国民性だそうで。
日本人だと相手が遠くから来ていたりしたら「こういうの渡したら荷物になって迷惑かな?」とか思っちゃうんだけど、全くそういう事は考えないで花とかをくれたりするんですよ~、って事らしいの。
そうか~、と思って。日本人だとホテルに花瓶とかも当然無いだろうし、とか、あげる方が考えすぎちゃうかもしれない。
新美:相手の都合ばかり考えて、あげなかったりとかね。レクチャーでは素直にストレートに反応してくれる人も多くて。
ときわ:そうそう。みんな素直で。
(聞き手:永尾ともあき)■トーク ロシアの旅あれこれ 目次
- 第1回 モスクワからエカテリンブルグへ
- 第2回 狩猟採集民?
- 第3回 良いエネルギーで満ちあふれて
- 第4回 「明日は絶対に成功させたい」
- 第5回 人間力のウネリ
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