父のこと

10月末に父が他界しました。
80歳を迎えたばかりでした。

この夏に受けた健康診断で胃がんが見つかり
手術して取っちゃいましょうということで9月半ばに入院。
手術自体は上手くいって
順調に回復に向かっていたところ容体が急変。
お医者さんたちも想定外の事態に
あらゆる手を尽くしてくださり
本人は危篤に陥ってからもそれこそ長い時間
命の灯を保つべくがんばっていましたが
家族が見守る中、ろうそくの火が消えるように
朝方静かに息をひきとりました。
その日は一日曇り空で、病院の窓から外を見ると
つばめの大群が、南へ渡っていく途中なのか
空を舞っていました。

父は若い頃は米軍キャンプからはじまって
ダンスホール華やかなりし時代に
サックス奏者としてビッグバンドに所属。
その後は30年ほど、芸能プロダクションや
お笑い事務所(テレビのお笑いタレント
ではなくて、昔ながらの寄席に出ている
芸人さんたち。こういう方達がまた素敵なんです)
などで裏方業をしていました。
その仕事を離れてからは再び楽器を手に取り、
地域のビッグバンドや吹奏楽クラブで
けっこう忙しく活動していました。

葬儀にはかつてのお仕事仲間や
家族ぐるみで仲良くしていた
芸人さんたちも駆けつけてくださり
懐かしさとともに、父の人生の山あり谷あり
悲喜こもごもに思いを馳せたのでした。
手術後の復帰を待っていた、現在のバンドの
お仲間たちは、父のあまりの突然の死を悼んでくれました。
「渋い、いい音色だった」
「まだまだたくさん教わりたかった」と
涙をはらはらと流してくださる女性も…。


式の合間にカウントベイシーを流して
終始あたたかい雰囲気につつまれて
にわか喪主、心からホッとしました。
夫と母のおかげもありました。
お父さん、いろいろあったけれど、こうして
惜しまれつつ見送ってもらえるのって
天晴なことだね。お葬式って、悲しむというよりは
お互い感謝をする場のことなんだね、と思いました。
父はもの静かな人だったので
父娘の会話もそれほど多くなく
直接何かを教わることはあまりなかったけれど
最後の最後で大きなことを教えてもらったような
気がしています。
 
お父さん、いつかまた、「モナリザ」
ソロで、聴かせてほしいな。

 


2019-11-14 | Posted in ... Blog ...Comments Closed