朝の会話

朝の公園でたまにすれ違う、柴犬を連れたコワモテ白髪のおじさん。
今日はジーンズに真っ赤なジャンパーを着ていた。
「おはようございます。寒くなりましたね」
「ああ、風邪ひかんようにな」
「はい、ありがとうございます」
朝の散歩はこんなちょっとした挨拶もすがすがしくて、うれしいものだなあ、と歩きつづけて…

公園を半周したところで、また向こうからおじさんの姿が。今度は何かを言いたげに近づいてくる。

「ちょっと…立ち入ったことを聞くようだけど」
「はい、なんでしょう」
「あんたたち、バンドか何かやってるかね？」

散歩ではジャージ姿の私たちだけど、音楽をやっている「におい」がしていて、いつか聞こうと思っていたそうだ。
面白いなあ、こんなこと言われたのは初めて。

おじさんは、毎朝近くのコーヒー屋でモーニングをしてから公園に来るそうだ。
そして、やさしい顔立ちの柴犬に傍らで見守られながら、いつもトングとビニール袋を片手に、タバコの吸殻など（自分は吸わないのに）ゴミを拾って歩いている。

だから、私たちもいつも気持ちよく歩けるんだなあ。