ピロスマニの絵

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先日渋谷アップリンクで見た「放浪の画家 ピロスマニ」。 1969年のグルジア映画をいつか見てみたいと思いを馳せていたのが去年の春ごろだったので、こんなに早く実現するなんて。ピロスマニは、20世紀初頭のグルジアの画家で、「百万本のバラ」の歌詞のモデルと言われている “貧しい絵描き”です。

彼の絵は、むろん画集でしか見たことがありませんが、朴訥としていて、清らかで、すべてを受け入れるような やさしさがあって…そして、描かれた動物や人物のしずかな生命力。 どことなく熊谷守一さんの絵にも通じるものを感じます。 実際、熊谷さんとピロスマニは、孤高の生き方も、 仙人のような?風貌も似ています。

映画を観終わってから、渋谷の街の喧噪の中に入り込んで、 一体どちらが現実なのか、一瞬わからなくなるくらい、 ピロスマニの時代を味わっていた自分に気づきました。田園風景も、羊飼いの縦笛も、祝祭の音楽と踊りも、ピロスマニの純粋な絵心とともにやさしく語りかけてくれていました。自然と涙があふれてしまいました。芸術は生活の中から生まれるけれども、生活ともまた一線を画すところがあって、そのバランスというのはとてもあやうく、儚いもの。だからこそ、人の心を捉えつづけるものなのですね。そんなことを、考えました。

いつか、トビリシに行って、ピロスマニの絵を見てみたいです。
そして、本場のグルジアワインも…。

 

 


2016-02-18 | Posted in ... Blog ...Comments Closed