戦争体験者の話を聞く その2

P1110057

「ピースあいち」に次に行ったのは、戦艦大和の乗組員だった方、
そしてニューギニア戦線から帰還した方お二人のお話の予定
だったのですが、それぞれ90歳を超え、体調を考慮して来られず、
代わりにこのお二方と同郷でありずっと体験談を聞き書きしてこられた
作家の三友隆司さんが来て、語ってくださいました。

三友さんたちは愛知県の設楽町など奥三河といわれる土地の出身で、
この地方では昔から「マンサク」は役に立たない木とされ、
人への比喩にも使ったりするそうです。戦後、息子二人を戦場で
失ったあるお母さんが、二人分の遺族年金をもらっていることを
村の人に触れられ、「どんなマンサクでもいいから生きててほしかった」
と泣きつづけていたそうです。

兵士の90%が飢えと病気で亡くなったニューギニア戦線。
熱帯の森に潜伏中、食べ物も底をつき、空腹の中を彷徨っていたところ、
木の上に鳥の巣があるのを見つけた。その卵でも取って食べよう…としたら、
同行していた原住民の酋長に激しく止められた。酋長が言うにはその木は
すでに誰かが目印に枝を折ってあるので、他人のものだから奪っては
いけない、ニューギニアでは盗み、殺人、姦淫は決してしないのだ、と。
それを聞いて、文明とは一体何なのだろうか。文明人同士が憎み合い
奪い合い殺し合う一方で、昔ながらに自然とともに生きてきた
ニューギニアの人達の方がよほど人間としてのモラルを守っている、と
その元帰還兵の方はハッとしたのだそうです。

戦争を直接知らない世代の私たちが、日本は過去の戦争をめぐって
何をしてきたのか、日本人に何があったのかを知り、戦争体験者の
記憶と向き合っていくことが、穏やかな暮らしを守ることにつながると
思っています。戦争は絶対にやってはいけないという出発点をしっかり
しておかないと、おかしな未来になってしまう。戦争によってこれまで
どれほどの家族や友人がバラバラに分断されてきたのでしょう。
長い長い年月の中で育まれてきた美しい文化やかけがえのない風習も
どれほど失われてきたのでしょうか。それも一瞬にして。
武力や抑止力で国民のくらしや命を守るなんて、おかしいでしょう。
安倍政権の言う集団的自衛権も戦争法案も絶対反対です。

 

 


2015-08-25 | Posted in ... Blog ...Comments Closed