2015-11

いのちの熱

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もう何年か前、震災の前の年でしたか、福島・三春町のお寺で元旦の早朝座禅会に参加したときのこと。

それまで毎月25日に行われていた座禅会には、折よく郡山や川内村に出向いていればその都度出ていたけれど、元旦、しかも早朝5時から座るというのは後にも先にもこの時が初めて。大晦日から明けるか明けないかという時刻に東京を出発、車をとばして三春町へ。福島県内に入ると、雪が舞っていて、お寺に着くと、もうすでに白く積もっていること…。

元旦5時、合図とともにおごそかに開始。いつもとちがう特別メニューで、般若心経の他にも読んだことのないリズミカルなたぶん讃歌のようなお経を唱える。本堂の中は大きなストーブが3台くらい備えてあり、真冬の早朝といえども寒さをそれほど気にせず足が組める。

座禅はいつものように、20分を3セット。3セット目もいい塩梅のころ、さすがにほとんど眠らずに夜を明かして福島まで来たのでウトウトしてしまうな…と諦めのような達観もどきのような境地に達したところ、和尚さんが突如として立ち上がり、ストーブの灯を止め、閉めきっていた本堂の雨戸から扉から何から、全て開けはじめた。

雪化粧の寺の庭から当然のように、しかし一大イベントが華々しく始まったかのように、吹き込む雪混じりの風。朝のやわらかな光も入ってくる。

冷たい風が急激に体中の温度を奪っていくので、体が危機を感じたのが分かった。「どうしたらいいんだろう」そんなことを、「体が」思ったように感じた。私の意志に関係なく。

そこで、和尚さんが直前におっしゃっていた言葉「ゆっくり呼吸をすれば血がめぐって自然と体があたたまるものです」を思い出し、ああそうかと、必死に、ゆっくり呼吸をした。「必死に、ゆっくり」が矛盾しているようで今ふりかえると可笑しくなるが、体温を少しでも上げるためにひたすらそれに没頭した。

すると、体の「熱」がたしかに、私の中にあるのが分かった。あ、私って、熱を持っている物体なんだ、と。これほどまでに自分のあたたかいものを感じたことがなかったので、新鮮だった。ああ、そうか、これが生きているってことなんだ、って。

東北地方の炭焼き職人さんのツイートに、このところの冷え込みにストーブが大活躍しているとのくだりで、「いのちとは一つに熱である」という言葉を見て、この座禅会でのことをふと思い出したのです。

 

 

2015-11-27 | Posted in ... Blog ...Comments Closed 

 

ムリウイ、そして”ひとりっこの夜” ありがとうございました

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先週のカフェ・ムリウイ、そして日曜日のコポ・ド・ジアでのライブへお越しくださったみなさま、心からありがとうございました。

ライブの数日前に風邪を引いてしまい…本番までには治そうと努力したのですがなかなか咳が治まりませんでした。咳止めを飲んだりしてライブに臨みましたが、お聞き苦しい所があったり、ハラハラさせてしまう所もあったかもしれません。それでも、お客さまにはあたたかく見守って、最後まで聞いていただきました。本当にありがとうございました。

怪我の功名といいますか風邪の功名といいますか…。今回、こんな体と喉の状態だったおかげで、負担がかからないように程よく力を抜いて歌うということが、よく分かりました。いつもはもうちょっと、必要ないのにがんばって力んでいた部分もあったんだと思います。自分が心地よく楽に歌えば、聞いている側にも心地よく聞こえますよね、きっと。なんだか今さら…な話ですが、この歳になってもまだまだ、歌のことでさえも、発見することが多いです。

それはそうと、来て下さった方々に、風邪がうつっていませんように。今回の風邪は、かなりしつこいです。しかも、咳。夜中に止まらなくなるのはさすがに辛かったです。日々、うがいを忘れずに、みなさまもお気をつけください。

ムリウイで歌った曲たち
<1st set>
1. Feitiço da vila
2. Amor blue
3. O bêbado e a equilibrista
4. 過ぎゆく時への手紙
5. あなただけを
6. Caçador de mim
7. 秋一景

<2nd set>
1. Moro na roça
2. 届かない花々
3. 時代おくれ
4. 愛燦燦
5. Alfonsina y el mar
6. 私の大地から
7. 無事でありますよう

アンコール:Doralice〜ケサラ

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コポ・ド・ジアが企画してくださった”ひとりっこの夜”。こんなに、「ひとりっこでよかったなぁ〜」と思えた夜はなかったですね。バンドリンの寺前浩之さん、ピアノの須藤信一郎さん、ギターの坂ノ下典正さん。それぞれソロアルバムも出されていますし、独特の世界観をお持ちの方々です。最初のステージはこのお三方で、三人のオリジナルや南米のカバーなどを聞かせていただきました。素晴らしかった!幾重にもいろんな要素が重なり合って、三人でしか成し得ない音楽がありました。

セカンドステージからは私も混ぜてもらって、このお三方だから…と思いながら選んだ曲たちは、とても素敵に奏でられて、私も心から楽しんで歌うことができました。コポのマスター、イトーちゃんもひとりっこなので、お料理も”ひとりっこプレート”が登場。色とりどりで、素材の意外な組み合わせもあって、個性がくるくると踊っているような、この夜を象徴しているような楽しく美味しいプレートでした。

<コポで歌った曲たち>
1. As rosas não falam
2. 小さな空
3. 木枯らしに抱かれて
4. Someone to watch over me
5. Balada para mi muerte
6. Amapola

アンコール:(インストで)蘇州夜曲〜(歌が加わり)Pra machucar meu coração

そうそう、「アルフィー」の話題が、演奏後も続いていましたね。この日に彼らの曲を持ってきてしまったのは果たしてよかったのでしょうか……!^^

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photo by sakaisan、ありがとうございました!

2015-11-18 | Posted in ... Blog ...Comments Closed 

 

2015年12月23日(水・祝)谷中ボッサ

<木下ときわ 冬月の音楽会>

東京都台東区谷中6-1-27
03-3823-5952
JR「日暮里」駅南口より徒歩8分
東京メトロ千代田線「根津」駅1番出口より徒歩10分

open 16:30/start 17:00
charge ¥2,000+order

木下ときわ(うた)
新美博允(ギター)

冬至が過ぎて、年末へむけてそろそろ身の回りの整理も
はじまる頃、音楽に耳を傾けてちょっとひと息つきませんか。
谷中ボッサの季節の収穫物たっぷりのお料理やケーキを
ほおばりながら。どうぞお待ちしています。

ご予約は谷中ボッサへお電話(03-3823-5952)または
当サイトへのメールで承ります。

 

 

2015-11-18 | Posted in 2015年, ライブComments Closed