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オマーラのさくらさくら

朝の公園での花見体操はこの時期だけのゼイタク。
先週からずっとアタマの中に流れているのは、オマーラ・ポルトゥオンドがコンサートでキューバの名曲たちの合間に歌った「さくらさくら」。

すーっと話すようにアカペラで歌い始めて、自分で軽く手拍子をしながら、あの旋律と歌詞。グッと来ちゃったな…。

この際、年齢を云々するのは野暮よね。つややかでちょっと渋みのある、深いルビー色のような歌声。どっしりと根を張る大木から枝がすーっと天空に向かっていくように、声は優雅にどこまでも伸びていく。歌を歌う、というより、彼女が居るその場の何もかもすべてを「飲み込んで」いる感じ。観ているこちらはその心地よい音楽の渦に身を委ねるがまま。こんなに圧倒的なのに、全身ピンク色のドレスがよく似合う、かわいらしい女性のオマーラ。

一曲だけゲストで呼ばれたピアノの奥山勝さんがベサメ・ムーチョを弾き始めたとき。オマーラはそれまでとは違った歌い方をしていました。どんな器が来てもそこにきれいに収まる水のように、調和するのだなあと思ったのです。バックの音を尊重するしなやかさ。どこの国とか、どんなジャンルかではなくて、人間としてどれだけすべてを愛せるか、そこから来る自由さを感じました。オマーラは今年の桜をきっと愛でていったことでしょう…。

 

2018-03-26 | Posted in ... Blog ...Comments Closed 

 

Studio WUU ありがとうございました

ゆうべのスタジオ・ウーでのライブ。ピアノの中島明子さんと、相変わらずジャンルを超えた歌の数々をおおくりしました。お運びくださった方々に心から感謝します。いい夜だったなあ。私的に、忘れられないライブとなったかもしれません。明子さんからも「楽しかった〜」と(たぶん心から)言ってもらえたのが、すごく嬉しく、ホッとしました。

去年の暮れにボリビアからやって来た新しい相棒のボンボくんが初お目見えでした。ウーの会場で叩くと、マイクがいらないくらい低音が響いて驚きました。アレンジがこれからも楽しくできそう。がんばろう。

ライブ後の集合写真をいつも撮り忘れてしまう私。ゆうべも気づいた時には着替えおわって撮り損ねてしまって…。明子さんのストールが男性陣に「いいねー」と評判でした。私は淡い色の衣装を着るつもりでしたが、出かける直前に「やっぱり原色が着たいな!」と思い返して取り替えました。着ていくたびに「こういうのが似合うね」と言ってもらえる大柄のワンピース。歌う歌も、服も、考えすぎず情報を入れすぎず、直観のままに決めてみるとやっぱりそれは本来の自分に近いものなのだ、と改めて思いました。

次回は明子さんと、さらにフレットレスベースの織原良次さんをお迎えして、4月6日(金)大塚グレコで演奏します。

 

2018-03-03 | Posted in ... Blog ...Comments Closed 

 

熊谷さんの時間

名古屋でライブ活動がうまく運ばず悶々としていた時期に、テレビ番組で「熊谷守一」という画家がいることを知りました。

テレビで目にしたのは山々を見渡す風景の絵で、ただただのどかな稜線のふちどりと、やわらかい緑色の山肌、それらになんともおおらかなものを感じて、もっと熊谷守一のことを知りたい、と惹きつけられずにはいられなかったのです。

熊谷さんの生い立ちを調べると岐阜の出身だということで勝手に近いものを感じ、エッセイ集「へたも絵のうち」にもわくわくして。それから程なくして岐阜県美術館での大熊谷さん展。虫や鳥や、花や猫…”その辺”にうごめいている名もなきいのちが、鮮やかな色彩で、ごくごく単純化されて、ぽん、と「あらそこにいたの」というようにちょっとドキリとするように置かれている。なんて不思議な絵なんだろう。高齢になってからは(熊谷さんは97歳まで生きました)日がな一日蟻の動きを眺めて、友人に「蟻というものは左の2番目の足から歩き出す」と語った、というエピソードに心底感動したものです。こんな時間のあり方があるんだなあ、と。そんなところから、私のアルバム「Tempo」へのひとつのヒントを得たように思うのです。

最近たまたま読んでいた、「日本野鳥の会」を創られた中西悟堂さんの本に、熊谷さんのくだりが出てきて心が躍りました。

熊谷さんに弟子入りした中西さんの知り合いのある人が、石膏像のデッサンを何百枚でもするように、と言われて自信あるものを持っていくと…
「像と、バックの壁との距離が出てはおらん。空間が描けておらんな」
「どうしたら距離なんか出るんだい」
「バカ!俺にきく奴があるかい。”空間”にきいて工夫しろ。一尺離れていたら一尺の、二尺離れていたら二尺の距離が出ぬうちは油絵などに手を出すな」

___う〜ん…道を極めた人の話というのは、何回聞いても痛快です。甘々な自分のことはさておいて。見えぬものを見ていた時代なのだろうと思います。

熊谷さん展は、東京国立近代美術館で、3月21日まで。私の熊谷さん好きを知ってくれていた友人が、展覧会のことを教えてくれたり、前売り券をくれたり。あり、蟻…ありがたい。。熊谷さんの絵に、期間中もう一度会いにいこうかな。

 

2018-02-16 | Posted in ... Blog ...Comments Closed