オマーラのさくらさくら

朝の公園での花見体操はこの時期だけのゼイタク。
先週からずっとアタマの中に流れているのは、オマーラ・ポルトゥオンドがコンサートでキューバの名曲たちの合間に歌った「さくらさくら」。

すーっと話すようにアカペラで歌い始めて、自分で軽く手拍子をしながら、あの旋律と歌詞。グッと来ちゃったな…。

この際、年齢を云々するのは野暮よね。つややかでちょっと渋みのある、深いルビー色のような歌声。どっしりと根を張る大木から枝がすーっと天空に向かっていくように、声は優雅にどこまでも伸びていく。歌を歌う、というより、彼女が居るその場の何もかもすべてを「飲み込んで」いる感じ。観ているこちらはその心地よい音楽の渦に身を委ねるがまま。こんなに圧倒的なのに、全身ピンク色のドレスがよく似合う、かわいらしい女性のオマーラ。

一曲だけゲストで呼ばれたピアノの奥山勝さんがベサメ・ムーチョを弾き始めたとき。オマーラはそれまでとは違った歌い方をしていました。どんな器が来てもそこにきれいに収まる水のように、調和するのだなあと思ったのです。バックの音を尊重するしなやかさ。どこの国とか、どんなジャンルかではなくて、人間としてどれだけすべてを愛せるか、そこから来る自由さを感じました。オマーラは今年の桜をきっと愛でていったことでしょう…。

 


2018-03-26 | Posted in ... Blog ...Comments Closed