おじいさんの後ろ姿

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今年もあとわずかとなりました。2014年を振り返ってみると
ごくごく個人的に、歌や心身のいろんなことを積み重ねた年だったなあと
思います。どんなに小さなことでも、いつか役に立つ日が来るかも
しれませんからね!今年は充実の蓄えの年となりました。

さて、犬の「ハル」との別れから、12月に入って身内の別れがつづきました。
不思議なものです。こういうことって、たてつづけにあるものなのね、と
驚きつつ、その意味するところを考えてみたくなるほどです。

大往生だった義理のおじいさんは、98歳、一人暮らしをしていました。
杖も使わずすたすたと歩いて、庭の手入れも自分でやり、
脚立までひっぱり出すので家族があぶないからと隠しても、
またどこかから調達してしまういきおいでした。ところが12月のある朝、
庭先でたおれている所を毎日様子を見に来る息子に発見されました。
もうその時はすでに息絶えていて、警察にも来てもらい現場検証をしたそうです。
それで分かったのは・・・おじいさんは枝を剪定しようと
ガレージの屋根にはしごをかけ、屋根の上にのぼり、仕事を済ませた後に
踏み込んでしまった屋根の隅っこが老朽化していたのか、そこが折れて
落下してしまったということでした。

じっとしていられなったおじいさん。そのガレージも昔、息子と一緒に
作ったものでした。戦時中は通信兵として満州にわたり、帰国後は
繊維工場に養子に入り、苦労が絶えなかったそうですが、そんなことを
感じさせないくらいの満面の笑みでいつも「がんばってな」と
会うたびに語りかけてくれました。いや、あの笑顔は
すべてを乗り越えてきたからこその、「徳」とも言えるものだったのでしょう・・

誰の世話にもならずに、誰にも迷惑をかけずに逝ったあまりに潔い死に、
おじいさんの人生の凄みを感じます。今年のお盆の施餓鬼会に
一緒に出席したときもお寺の境内をスタスタ・・・つい、その後姿を
カメラに収めたのです。おじいさんの後姿が、
これからどう生きていったらいいか、教えてくれるような気がして。


さてさて、今年もお世話になり、本当にありがとうございました。
来年も素敵な年となりますよう。どうぞよいお年をお迎え下さい。

 

 


2014-12-30 | Posted in ... Blog ...Comments Closed