熊谷守一のいる場所展

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すっきりとした秋晴れの日、岐阜県美術館に行ってきました。
電車を乗り継いで、JR西岐阜駅からテクテク…。
同じく岐阜は付知村(現在は中津川市付知)出身の画家、
熊谷守一展を見るために。前売りチケットを買って、
ずっと楽しみにしていました。

熊谷さんは、1880年(明治13年)生まれの方。
とくに晩年近く1960〜70年代の、板切れに油絵の具で描かれた
花や虫や鳥の絵。簡潔で、素朴で、でもそれが
宇宙そのものであるかのように、突き抜けているものを感じます。
「守一のいる場所展」は、想像以上にたくさんの
絵、書、日本画が集められていて、ゆっくり見ていたら
あっという間に日が暮れてしまって、長い旅に出ていたかのような
心地よい余韻と疲れが残りました。

ぎっしりと作品が並べられてた部屋に立ちつくして…
何てここは清らかなんだろう、と思いました。
絵に囲まれていると、体を透明な秋風が抜けていくよう…。
どこか次元のちがう場所へ来たみたい。世の中の、
物欲とか名誉とか、情報とか。そういうものが一切、ここにはない。
排除しようとがんばっているのではなくて、
自然体に、ふんわりと、歩んでいるだけ。
熊谷さんには実際、文化勲章を「これ以上人が来るのは困る」から
辞退した、とか「蟻を何日も何日も観察していたら、彼らが
歩き出すとき、左の2番目の足から動かすのが分かった」とかいう
浮世離れした逸話がたくさんあって、それらを見聞きしながら
「ず ゞ め」とか「か ら す」という書からも、ああ、
肩の力を抜いて、いち生きものとしてじぶんの命を生きよう…と
気づかされるのです。

ほんとうに、別天地のような、素晴らしい展覧会でした。
会期中にもう一度行きたいくらいです。10月19日まで。
岐阜県美術館 熊谷守一展

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…といいつつ、物欲にかられて来年のカレンダーと、
縁側猫ちゃん刺繍のミニタオルを買ってしまったのでした。
気持ちよさそうに寝ているね。。

 

 


2014-10-09 | Posted in ... Blog ...Comments Closed